Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
若い技師の道楽半分に建ててくれた文化住宅の日本風の座敷に、何を感違いしたのか、床柱が一方にしかないのが不思議だと言って、怒り出した妻を、言葉優しく言い宥めるくらいの寛容と愛情に事かかない彼だったが、田端時代になって愛の破局が本当にやって来た。それは、葉子がちょうどスタジオ入りの許しを得ようとした時であった。
「お前の容色なら一躍スタアになれるに違いないが、その代り貞操を賭けなきゃならないんじゃないかね。」
葉子はそれを否定する代りに、にやりと頬笑んだ。
今、葉子は思いがけなく上京した松川の手紙を見ると、一時に心が騒ぎ立った。いくらかの恐怖はあったにしても、どんな場合にも彼女は相手の愛を信じて疑わなかった。
「何だか気味が悪いから電話してみますわ。」
葉子はそう言って、不断電話を借りつけの裏の下宿屋へ行った。
相手が出て来たところで、彼女は気軽に話しかけた。
「もしもし私よ、解って?」
「うむ、僕だよ。都合上ちょっと遠いところへ行く途中、ごく秘密に逢いたいと思って寄ったんだが、久しぶりでいろいろ話もあるし、貴女のことも心配しているんだ。それでぜひ逢って渡したいものがあるから、ちょっとここまで来てもらいたいんだ。