Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
その光のなかで荒療治が行なわれた。
庸三はドクトルの指図で、葉子の脇腹を膝でしかと押えつける一方、両手に力をこめて、腿を締めつけるようにしていたが、メスが腫物を刳りはじめると、葉子は鋭い悲鳴をあげて飛びあがろうとした。
「痛た、痛た、痛た。」
瞬間脂汗が額や鼻ににじみ出た。メスをもった婦人科のドクトルは驚いて、ちょっと手をひいた。――今度は内科の院長が、薔薇色の肉のなかへメスを入れた。葉子は息も絶えそうに呻吟いていたが、面を背向けていた庸三が身をひいた時には、すでに創口が消毒されていた。やがて沃度ホルムの臭いがして、ガアゼが当てられた。
医師が器械を片着けて帰るころには、葉子の顔にも薄笑いの影さえ差していた。そしてその時から熱がにわかに下がった。
庸三は母や兄の親切なサアビスで、一日はタキシイを駆って、町から程合いの山手の景勝を探って、とある蓮池の畔りにある料亭で、川魚料理を食べたり、そこからまた程遠くもない山地へ分け入って、微雨のなかを湖に舟を浮かべたり、中世紀の古色を帯びた洋画のように、幽邃の趣きをたたえた山裾の水の畔を歩いたりして、日の暮れ方に帰って来たことなどもあって、また二日三日と日がたった。