Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans

Aozora Bunko

ここですっかり自身を立て直そうと思うようになっていた。その方へ心が傾くと、にわかに荷が軽くなったような感じで、道が目の前に開けて来るのであった。

板戸も開け放したまま、筒袖の浴衣一枚で仕事をしていたのだったが、雀の囀りが耳につく時分に書きおわったまま、消えやらぬ感激がまだ胸を引き締めていた。

電報を手にした時、彼は待っていたものが、到頭やって来たという感じもしたが、あわててもいた。

「……一年や二年、先生のお近くで勉強できるほどの用意もできましたので……」

そう言った彼女の手紙を受け取ったのも、すでに三日四日も前のことであったが、立て続けに二つもの作品を仕上げなければならなかったので、あれほど頻繁に手紙を彼女に書いていた庸三も、それに対する返辞も出さずにいた。真実のところ彼はこの事件に疲れ果てていた。享楽よりも苦悩の多い――そしてまたその苦悩が享楽でもあって、つまり享楽は苦悩だということにもなるわけだし、苦悩がなければ倦怠するかもしれないのであったが、それにしても彼はここいらで、どうか青い空に息づきたいという思いに渇いていた。

この事件の幕間として、彼は時々水辺の小夜子の家へも、侘しさを紛らせに行った。