Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
ある時東京会館の二階で、上方風のすき焼を食べたが、庸三の子供三人に瑠美子もいた。彼らは衝立の陰で鍋の肉を小皿に取りわけ、子供に食べさせていたのだったが、ちょうどその時、田舎の人らしい毛皮づきの二重廻しを着た五十年輩の人と少し若い男と四人づれで、ゴルフやけでもしたような、色の浅黒い三十五六のシイクな濃い茶の背広服の男と、その夫人らしい派手な服装の女が入って来るのが、葉子の目についた。
「ちょっと、あれが小河内さん夫婦よ。」
葉子は庸三にささやいたが、ちょうど葉子の後ろにある衝立の斜向いの処に、彼らは席を取った。別にそれほど目立つ男ではなかったが、鼻筋の通った痩せぎすな顔に品があり、均勢の取れた姿もスマートであった。
葉子はちょっと衝立の端から半身を現わして、お辞儀したが、こっちはごたごた家庭的なので少し照れていた。
するとそれから一週間もたったかと思うころに、帝劇の音楽会で、またしても葉子は小河内夫妻と出逢った。
演奏は露西亜のピアニスト、ゴドウスキイであったが、いかにも露西亜人らしいがっちりした小肥りの紳士で、演奏技術の上手下手は、いくらか聞きなれたヴァイオリンほどにも解らないのだったが、好きな義太夫の三味線などで、上手な弾き手の軽々した撥と糸とが縺れ合って離れないように、長く喰み出した白いカフスの手が