Classiques japonais avec furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Lisez 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 327 364 caractères · 638 écrans
「どうしたのさ。一緒に帰ればいいのに。」
お婆さんが訊くと、
「え、でもやっぱり家が心配で。」
彼女は曖昧な返事をしながら、何か落ち着かない素振りをしていた。
伊香保では客もめっきり減り、芒の穂なども伸びて、朝夕は風の味もすでに秋の感触であったが、松島が品子と今一人、雑用に働いている遠縁の娘と三人づれで、土産をしこたま持って帰ってみると、小菊の姿は家に見えなかった。
「今日帰ることは知ってるはずだから、髪でも結いに行ったんだろう。」
松島は独りで思っていた。
「子供の時分にいた房州の海が見たくなったから、二三日行って来ると言って、昨夜霊岸島から船で行きましたよ。お父さんたちの帰る時分に、帰って来ますといってね。」
松島は怪訝な顔をしたが、またあの石屋にでも誘い出されたのではないかと、しばらく忘れていた石屋のことを何となく思い出したりしていた。
しかしそれは当たらず、小菊は昔しの抱え主を訪ね、幼い時代の可憐げな自分の姿を追憶し、しみじみ身の上話がしたかったのであった。やり場のない憂愁が胸一杯に塞がっていた。品子は妹といっても、腹違いであり、小菊はお篠にとって義理の娘であった。