Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans

Aozora Bunko

血が止まって、わたしも先ずほっとしました。

それにしても手足に付いた血の痕を始末しなければなりません。足の方はさのみでもありませんでしたが、手の方はべっとり紅くなっています。水を貰って洗おうとすると、ただ洗っても取れるものではない、一旦は水を口にふくんで、いわゆる啣み水にして手拭か紙に湿し、しずかに拭き取るのが一番よろしいと、案内者が教えてくれました。その通りにしてハンカチーフで拭き取ると、なるほど綺麗に消えてしまいました。

「むかしは蛭に吸われた旅の人は、妙義の女郎の啣み水で洗って貰ったもんです。」

案内者は煙草を吸いながら笑いました。わたしもさっきの話を思い出さずにはいられませんでした。

信州路から上州へ越えてゆく旅人が、この山蛭に吸われた腕の血を妙義の女に洗って貰ったのは、昔からたくさんあったに相違ありません。うす暗い座敷で行燈の火が山風にゆれています。江戸絵を貼った屏風をうしろにして、若い旅人が白い腕をまくっていると、若い遊女が紅さした口に水をふくんで、これを三栖紙にひたして男の腕を拭いています。窓のそとでは谷川の音がきこえます。こんな舞台が私の眼の前に夢のように開かれました。