Classiques japonais avec furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans
栗の花
娘はまだ一心に拝んでいた。女房は慌てて軒下の桑籠を片付け始めた。(大正5・6「木太刀」)
栗の花
栗の花、柿の花、日本でも初夏の景物にはかぞえられていますが、俳味に乏しい我々は、栗も柿もすべて秋の梢にのみ眼をつけて、夏のさびしい花にはあまり多くの注意を払っていませんでした。秋の木の実を見るまでは、それらはほとんど雑木に等しいもののように見なしていましたが、その軽蔑の眼は欧洲大陸へ渡ってから余ほど変って来ました。この頃の私は決して栗の木を軽蔑しようとは思いません。必ず立ちどまって、その梢をしばらく瞰あげるようになりました。
ひと口に栗と云っても、ここらの国々に多い栗の木は、普通にホース・チェストナットと呼ばれて、その実を食うことは出来ないと云います。日本でいうどんぐりのたぐいであるらしく思われる。しかしその木には実に見事な大きいのがたくさんあって、花は白と薄紅との二種あります。倫敦市中にも無論に多く見られるのですが、わたしが先ず軽蔑の眼を拭わせられたのは、キウ・ガーデンをたずねた時でした。
五月中旬からロンドンも急に夏らしくなって、日曜日の新聞を見ると、ピカデリー・サーカスにゆらめく青いパラソルの影、チャーリング・クロスに光る白い麦藁帽の色、ロンドンももう夏のシーズンに入ったと云うような記事がみえました。