Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans
磯部の若葉
帰途にも葡萄酒醸造所に寄って、ふたたび梅酒の御馳走になりました。アルコールがはいっていないのですから、わたしには口当りがたいそう好いのです。少々ばかりのお茶代を差し置いてここを出る頃には、霧も雨に変って来たようですから、いよいよ急いで宿へ帰り着いたのは丁度午後三時でした。登山したのは午前九時頃でしたから、かれこれ六時間ほどを山めぐりに費した勘定です。
菱屋で暫く休息して、わたしは日の暮れないうちに磯部へ戻ることにしました。案内者に別れて、菱屋の門を出ると、笠の上にはポツポツという音がきこえます。蛭ではありません。雨の音です。山の上からは冷たい風が吹きおろして来ました。貸座敷の跡だと云うあたりには、桑の葉がぬれて戦いでいました。(大正3・9「木太刀」)
磯部の若葉
きょうもまた無数の小猫の毛を吹いたような細かい雨が、磯部の若葉を音もなしに湿らしている。家々の湯の烟りも低く迷っている。疲れた人のような五月の空は、時どきに薄く眼をあいて夏らしい光りを微かに洩らすかと思うと、又すぐに睡そうにどんよりと暗くなる。鶏が勇ましく歌っても、雀がやかましく囀っても、上州の空は容易に夢から醒めそうもない。