Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans

Aozora Bunko

二

二

温泉宿へ一旦踏み込んだ以上、客もすぐには帰らない。宿屋の方でも直ぐには帰らないものと認めているから、双方ともに落着いた心持で、そこにおのずから暢やかな気分が作られていた。

座敷へ案内されて、まず自分の居どころが決まると、携帯の荷物をかたづけて、型のごとくに入浴する。そこでひと息ついた後、宿の女中にむかって両隣りの客はどんな人々であるかを訊く。病人であるか、女づれであるか、子供がいるかを詮議した上で、両隣りへ一応の挨拶にゆく。

「今日からお隣りへ参りましたから、よろしく願います。」

宿の浴衣を着たままで行く人もあるが、行儀のいい人は衣服をあらためて行く。単に言葉の挨拶ばかりでなく、なにかの土産を持参するのもある。前にも云う通り滞在期間が長いから、大抵の客は甘納豆とか金米糖とかいうたぐいの干菓子をたずさえて来るので、それを半紙に乗せて盆の上に置き、ご退屈でございましょうからと云って、土産のしるしに差出すのである。

貰った方でもそのままには済まされないから、返礼のしるしとして自分が携帯の菓子類を贈る。携帯品のない場合には、その土地の羊羹か煎餅のたぐいを買って贈る。