Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

きどうむかしがたり

綺堂むかし語り

岡本 綺堂

Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans

Aozora Bunko

下山の途中は比較的に楽でした。来た時とは全く別の方向を取って、水の多い谷底の方へ暫く降って行きますと、さらに草や木の多い普通の山路に出ました。どんなに陰った日でも、正午前後には一旦明るくなるのだそうですが、今日はあいにくに霧が晴れませんでした。面白そうに何か騒いでいる、かの七人連れをあとに残して、案内者と私とは霧の中を急いで降りました。足の方が少しく楽になったので、わたしはまた例のおしゃべりを始めますと、案内者もこころよく相手になって、帰途にもいろいろの話をしてくれました。その中にこんな悲劇がありました。

「旦那は妙義神社の前に田沼神官の碑というのが建っているのをご覧でしたろう。あの人は可哀そうに斬り殺されたんです。明治三十一年の一月二十一日に……。」

「どうして斬られたんだね。」

「相手はまあ狂人ですね。神官のほかに六人も斬ったんですもの。それは大変な騒ぎでしたよ。」

妙義町ひらけて以来の椿事だと案内者は云いました。その日は大雪の降った日で、正午を過ぎる頃に神社の外で何か大きな声を出して叫ぶ者がありました。神官の田沼万次郎が怪しんで、折柄そこに居合せた宿屋の番頭に行って見て来いと云い付けました。