Classiques japonais avec furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lisez 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 183 656 caractères · 363 écrans
」と、早々にその景品を片付けてしまうので、折角いい籤をひき当てても結局有名無実に終ることが多い。それを見越して、たくさんの景品のうちにはいかさま物もならべてある。羊羹とみせかけて、実は拍子木を紙につつんだたぐいの物が幾らもあるなどと云うが、まさかそうでもなかったらしい。
わたしも十一の歳のくれに、麹町の万よしという寄席で紙鳶をひき当てたことを覚えている。それは二枚半で、龍という字凧であった。わたしは喜んで高座の前へ受取りにゆくと、客席のなかで例の「やってしまえ。」を呶鳴るものが五、六人ある。わたしも負けない気になって、「子供が紙鳶を取って、やってしまう奴があるものか。」と、大きな声で呶鳴りかえすと、大勢の客が一度に笑い出した。高座の芸人たちも笑った。ともかくも無事に、その紙鳶を受取って元の席に戻ってくると、なぜそんな詰まらないことを云うのだと、一緒に行っていた母や姉に叱られた。その紙鳶はよくよく私に縁が無かったとみえて、あくる年の正月二日に初めてそれを揚げに出ると、たちまちに糸が切れて飛んでしまった。
近年は春秋二季の大掃除というものがあるので――これは明治三十二年の秋から始まったように記憶している。