Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lisez 黒田如水 (くろだじょすい) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 639 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

「何の事もない」

と、いったきりであった。

けれどその後には、血に染んだ懐紙が捨てられてあった。喀血したのである。彼はその夜から熱を発して、十日あまり陣屋のうちに寝込んでいた。

見舞に来た秀吉は枕元で、

「そういう我慢は、わしにとっては欣しくない。どうか、頼むから養生してくれい。それには、この戦場では、療養もできぬ。京都へ参って、よい医者にかかれ。曲直瀬道三に診てもらえ。あれは当代の名医だ。……いま其方に死なれては、秀吉のゆくても暗うなるぞ。ぜひ京都で半年か一年ほども養生いたして来るがよい」

叱ったり、励ましたり、また頼むがごとく、それを促すのであった。

「勿体ないおことばです」

半兵衛は涙を拭いた。官兵衛もその心のうちを察して頸を垂れていた。

鵙の啼きぬいている秋の日だった。病軍師竹中半兵衛は、死んでも離れないといっていた平井山の陣地をうしろに、ついに京都へ還って行った。秀吉と官兵衛らに見送られて――。

一挺の山駕は、彼のために新しく作られてあった。これも秀吉の思い遣りの物である。門を出て山道を降って行くその影を、秀吉も官兵衛も熱い眼で見送っていた。