Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lisez 黒田如水 (くろだじょすい) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 639 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

それを知っている与次右衛門は、わざと彼をひきとめて、町端れまで馬の口を取って送って来た。

「爺や、もう帰れ。このたびの使いも難役、生還は期し難いが、生きて帰ったら、いつか姫山の家にもゆく。そう告げて立ち去ったと、父上にもお伝えしてくれ。……それだけでいい、もう帰れ、ここで別れる」

官兵衛は馬をとめて、与次右衛門を追いやった。与次右衛門は、馬のそばを離れたが、なお去らず、しきりと涙をふいていた。

その容子で官兵衛も気づいた。薄暮の並木の陰に、市女笠をかぶった妻の白い顔が見えたからである。

それへ向って、馬の上から彼は叱った。

「女は家にいろっ。そんな暇になぜ父上のお側でも賑わしていてくれぬか。お汝の良人は戦陣にある人間だ。いつ具足を脱いで家へ凱旋したか。たわけ者めっ」

――が、叱りつつ、彼は具足羽織の下から、何か探り出していた。そしてそれを手に丸め、紙つぶてとして、妻の姿へ抛りつけた。

いつか、書写山の陣屋で、竹中半兵衛から手渡された、わが子松千代の手紙であった。

紙つぶてはいるところまで、届かなかった。泣いていた若い妻は、とびつくように、夕風に転がってゆくそれを追って拾っていたが、官兵衛をのせた名馬書写山は、その駿足にまかせて、彼女がふたたび道を眺めたときは、もう遠い秋の夕霧のうちに影をかくしていた。