Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lisez 黒田如水 (くろだじょすい) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 639 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

この日は、楽しかった。このわずかな緑の嫩蔓に慰められてである。次の日から朝起きても、すぐそこを仰いだ。ほんの朝の一刻であるがうすい日光が射すといよいよ美しい。そして蔓はかならず、一、二寸ずつ伸びている。

「しかし、あれを見ても、もう春は過ぎ夏も近いに。――以来、この城に、魚の跳ねる音しかせぬは、世上の成行きは如何いたしたものか」

彼は微かな憂悶を覚えた。いや、慟哭するだけの精気すら、すでにないのかもしれない。

子を思うより妻を思うより、世を思うとき彼の涙はとまらなかった。平井山の陣中にある秀吉のその後を考え、信長の立場、近畿のうごき、西国の情勢、東国の動静など、限りもなく想像にのぼってくる。

去年の十二月初めころ、この城を中心として、ただならない物音を幾日か聞いた。

そのときこそは、

(さてこそ合戦。織田どのの軍勢が寄せて来たな)

と、独り胸をおどらせ、同時に、ある場合の覚悟もかためていたが、その死を強いて来る日もそれきり訪れて来なかった代り、以来、胸おどるような寄手の喊声もぱったり聞えない。

「織田方の形勢は悪いな。万一にも、毛利の水軍が、舳艫をそろえて、摂津の沿岸に上陸して来たら、ひとり荒木や高山や中川清秀にとどまらず、彼方此方に、離反の旗幟をかざす者が相継いで、安土は容易ならざる重囲の中に取り塞がれよ