Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

くろだじょすい

黒田如水

吉川 英治

Lisez 黒田如水 (くろだじょすい) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 163 639 caractères · 325 écrans

Aozora Bunko

きっと、松千代を見て、親の手がさしまねいた。

「於松。こちらへ来い」

「はい」

松千代は、父の側へ寄った。変り果てた父のすがたを見ては、この少年も哭かないでいられなかった。両手を顔にあてておいおいと泣き出した。

「さむらいの子が見ぐるしい」

官兵衛は叱るが如く宥めて、

「そなたに取って、親に次いでの大恩人はたれだ」

「竹中半兵衛様です」

「左様であろうが。さすれば聞き分けもつこう。そなたをお助け下された大恩人を死なしてよいものか。半兵衛殿がご主君のおとがめによって死を賜わらぬ前に、そなたは帯びておるその短刀をもって自ら腹を切って死ね。父が見ていてやろう。父の子だぞ。皆様に嗤われぬように死ぬのだぞ」

「はい」

少年はそのつぶらな眼をいっぱいにみはって答えた。泣くまいとする力が顔に漲った。そして短刀を取り腹帯を解き始めた。

と。そのとき信長は、いきなり歩いて来て、この少年の肩を二つ三つ叩いた。そして親の官兵衛へも、竹中半兵衛の方へも、等分にことばを頒けるように、

「和子。もうよい、もうよいのだ。死ぬには及ばん。何事も信長の過ちから起ったことだ。まず信長の過ちをゆるせ。