Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Leggi 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) di 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.742 caratteri · 256 schermate
三人は乗りぬ。
「じゃ、そろそろやってくれ」
車は徐々に麦圃を穿ち、茶圃を貫きて、山科の方に向かいつ。
前なる父が項の白髪を見つめて、浪子は思いに沈みぬ。良人に別れ、不治の疾をいだいて、父に伴なわるるこの遊びを、うれしといわんか、哀しと思わんか。望みも楽しみも世に尽き果てて遠からぬ死を待つわれを不幸といわば、そのわれを思い想う父の心をくむに難からず。浪子は限りなき父の愛を想うにつけても、今の身はただ慰めらるるほかに父を慰むべき道なきを哀しみつ。世を忘れ人を離れて父子ただ二人名残の遊びをなす今日このごろは、せめて小供の昔にかえりて、物見遊山もわれから進み、やがて消ゆべき空蝉の身には要なき唐織り物も、末は妹に紀念の品と、ことに華美なるを選みしなり。
父を哀しと思えば、恋しきは良人武男。旅順に父の危難を助けたまいしとばかり、後の消息はたれ伝うる者もなく、思いは飛び夢は通えど、今はいずくにか居たもうらん。あいたし、一度あいたし、生命あるうちに一度、ただ一度あいたしと思うにつけて、さきに聞きつる鄙歌のあいにく耳に響き、かの百姓夫婦のむつまじく語れる面影は眼前に浮かび、楽しき粗布に引きかえて憂いを包む風通の袂恨めしく――