Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Leggi 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) di 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.742 caratteri · 256 schermate
九の二
「台湾!」
老婦人は再び太息つきぬ。
加藤子爵夫人はわき来る涙をかろうじておさえつ。
「でございませんと、あの通り思っているのでございますから、世間体はどうともいたして、あわせもいたしましょうし、暇乞もいたさせたいのですが――何をいっても昨日今日台湾に着いたばかり、それがほかと違って軍艦に乗っているのでございますから――」
おりから片岡夫人入り来つ。そのあとより目を泣きはらしたる千鶴子は急ぎ足に入り来たりて、その母を呼びたり。
九の二
日は暮れぬ。去年の夏に新たに建てられし離家の八畳には、燭台の光ほのかにさして、大いなる寝台一つ据えられたり。その雪白なるシーツの上に、目を閉じて、浪子は横たわりぬ。
二年に近き病に、やせ果てし躯はさらにやせて、肉という肉は落ち、骨という骨は露われ、蒼白き面のいとど透きとおりて、ただ黒髪のみ昔ながらにつやつやと照れるを、長く組みて枕上にたらしたり。枕もとには白衣の看護婦が氷に和せし赤酒を時々筆に含まして浪子の唇を湿しつ。こなたには今一人の看護婦とともに、目くぼみ頬落ちたる幾がうつむきて足をさすりぬ。室内しんしんとして、ただたちまち急にたちまちかすかになり行く浪子の呼吸の聞こゆるのみ。