Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Leggi 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) di 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.742 caratteri · 256 schermate
その日命ありてにわかに遠方に出張し、三月あまりにして帰れば、わが留守に浪子は貴族院議員加藤某の媒酌にて、人もあるべきにわが従弟川島武男と結婚の式すでに済みてあらんとは! 思わぬ不覚をとりし千々岩は、腹立ちまぎれに、色よき返事このようにと心に祝いて土産に京都より買うて来し友染縮緬ずたずたに引き裂きて屑籠に投げ込みぬ。
さりながら千々岩はいかなる場合にも全くわれを忘れおわる男にあらざれば、たちまちにして敗余の兵を収めつ。ただ心外なるはこの上かの艶書の一条もし浪子より中将に武男に漏れなば大事の便宜を失う恐れあり。持ち込みよき浪子の事なれば、まさかと思えどまたおぼつかなく、高崎に用ありて行きしを幸い、それとなく伊香保に滞留する武男夫妻を訪うて、やがて探りを入れたるなり。
いまいましきは武男――
*
「武男、武男」と耳近にたれやら呼びし心地して、愕と目を開きし千々岩、窓よりのぞけば、列車はまさに上尾の停車場にあり。駅夫が、「上尾上尾」と呼びて過ぎたるなり。
「ばかなッ!」
ひとり自らののしりて、千々岩は起ちて二三度車室を往き戻りつ。心にまとう或るものを振り落とさんとするように身震いして、座にかえりぬ。