Classici giapponesi con furigana
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しんせい
新生
島崎 藤村
Leggi 新生 (しんせい) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 334.815 caratteri · 663 schermate
今になって彼は古典の精神をもって終始した父等が当時の愛国運動に参加したことや、学問から実行に移ったことを可成重く考えて見るように成った。彼はこの旅に上る前の年に、記念することがあって父の遺した歌集を編み、僅の部数ではあったがそれを印刷に附し、父を知る人達の間に分けたことも有った。その遺稿の中には父が飛騨の国で詠んだかずかずの旅の歌があった。それを彼は思い出して、あの水無神社の宮司として飛騨の山中に籠っていた頃が父の生涯の中でも寂しい時であり、懐しみの多い時ででもあることを想って見た。彼は又、父が苦しんだ精神病の原因を考えた。それを若い時に想像したようなロマンチックな方へ持って行かないで、もっと簡単な衛生上の不注意に持って行って考えて見た。仮りに父の発狂がそうした外来の病毒から来ているとしても、そのために父に対する心はすこしも変らなかった。恐い、頑固な、窮屈な父は、矢張自分等と同じような弱い人間の一人として、以前にまさる親しみをもって彼の眼に映るように成った。
この父の前に、岸本は自分の旅の身を持って行った。羞じても、羞じても、羞じ足りないほどの心で国を出て来た時、暗夜に港を離れ行く仏蘭西船の甲板の上に立って最後に別れを告げた時の彼は、実はあの神戸も見納めのつもりであった。