Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Leggi 遺愛集 (いあいしゅう) di 島 秋人 (しまあきと) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.488 caratteri · 102 schermate

Aozora Bunko

にはか雨いましやみたる夜の空へ遠き汽笛が濡れて鳴りたり

秘めてゐる優しき憶ひたどる夜にふれあひて鳴る鍵の音かも

夜は星のふたつを獄窓に見てをりぬ晴れしひるより続くたのしさ

体重が四キロふえてよろこびぬ痩するに易き死囚の身にて

大福のやはきを食みて忘れゐし生活の幸のひとつを知り得

生きてゐる清しき幸よ晴れし日に独りの肌着濯ぎ了へたり

差入れの上等弁当食みをはるうまかりし笑みふたに写りて

人相の柔和になりしを云はれたり叱られし日を憶ひつつ聞く

ふと生るる笑みの愛しも生涯に一度の賞受くると知りて

おろそかに過し得ぬ日と思ひつつなすことの無くひと日昏れたり

濡れ土に沁みゐる獄灯みつめつつ今に至りし己れ愛しむ

悟りそめし生きの日にふとよろこびの極みの如き憶ひ湧き出づ

朝顔のひとつに露のあふれゐて葉かげの紅の鮮かなりけり

虫の音を初めてきく夜この夏も終りに近し獄窓に来て聴く

ナイターを見しと云ふ手紙読み了へてちひさき夜空獄窓より仰ぐ

縫ひたての座布団たまひぬ幼児の夜具地と云ふに双掌這はする

眠るため瞑るならず耳しひに聴き得る虫の音独り愛しむ

虫の音はますます澄みて死ぬるべきわれのひと夜をいたはりくるる