Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Leggi 遺愛集 (いあいしゅう) di 島 秋人 (しまあきと) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.488 caratteri · 102 schermate

Aozora Bunko

昭和三十七年

のがれ得ぬ死刑と思ひ仰ぐ獄窓樹の間の月の清く更けたり

めいわくをかけし質店の広告あり死刑囚として故郷の新聞読めば

死刑囚となりて思へばいくらでも生きる職業あると悟りにき

わが罪に貧しく父は老いたまひ久しき文の切手さかさなる

図書館に時をり行きて老いし父死刑囚われの短歌見るといふ

わが罪を証人台に泣きたまひ泣きたまひつつ詫びくれし老父

父よりは背丈伸びたり送り来し古ジャンパーをまとひてみれば

独り身の老父のジャンパー袖口に繕ひしあとありて切なし

独り身の老父が洗ひて繕ひし古ジャンパーを獄にまとひぬ

過ぎし日の老父の姿をまねてゐぬ冬の日向に死因となりて

まみ細め換気孔よりもるる陽を格子にのばり顔に当てゐき

ひと日着て残る体温いとしみつ青さ薄れし囚衣たたみぬ

駅よりの家への路を憶ひつつ死刑囚として初雪を聞く

久々にあくびなど出づ白き息いつまで吐ける死刑囚われに

握手さへはばむ金網目に師が妻の手のひら添へばわれも押し添ふ

死刑囚の言葉少くなさむとも意識はしつつさびしさに詠む

新しき年迎へ得て死刑囚のわれも友もみな顔輝けり

昭和三十七年

この年「タイム」に紹介される。

六月死刑確定す。十二月四日受洗。