Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いあいしゅう

遺愛集

島 秋人

Leggi 遺愛集 (いあいしゅう) di 島 秋人 (しまあきと) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.488 caratteri · 102 schermate

Aozora Bunko

父母に許されぬまま手紙欲りつつ処刑移送となりし友あり

来ると云ふ老父を待ち佗び夜通しを鳴く虫の音に聴き入りにけり

四年経て金網ごしにいたはられ老父の言葉の少きを聞く

父老いてくり返し同じことを云ひ言葉なきとき泣きたまひけり

老父が見する姉の写真の女の児をさなき頃の姉によく似る

いきどほる事のある日は師が妻の優しきを思ひ足りて眠りぬ

耐へがたき憶ひに獄窓の洩れ陽あび己れの翳の動くを厭ふ

さびしさに心ゆくとき笑み添ひて優しき憶ひ獄に生れ出づ

さかだちの双手にかかる寂しさは五十二キロの重さにあらず

きらはるるしうちを受けし夢なれどめづらしく亡母の夢をみたりき

亡き母に叱られたくてまみつむりひくく飯皿ならしてみたり

亡き母の憶ひが優し目つむり叱られしことの食器鳴らしぬ

何となく指触れしむる獄の灯に孤つやかんのあたたかき腹

愛しみの炎ゆるに似たりかまつかの濡れて美しき朱の小さきは

自愛するひと日に足りて寄り添へる獄窓の洩れ陽をまぶしみてをり

ふと獄に亡母にそむきし事などを憶ひつつをり陽に黙すとき

刑死の日近くなりしを覚ゆるにガラス透く陽を浴みて安けし

安らかに笑みて受くべし殺めたる罰受くる日の何日に来るとも