Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate
二
時を合わせて呼応一掴、孔明を擒人になさんこといま眼前に迫る。期してはずし給うな。
というような文意であった。
容易にひとの計略にはかからない司馬懿も、自分の仕掛けた計略にはつい懸った。翌日一日、密々準備して、夜に入るや、渭水の流れをそっと渉らんとした。
「父上にも似気ないことを」
息子の司馬師は父に諫めた。一片の紙片を信じて、これまで自重していた戦機を、我から動かすなどということは、日頃の父上らしくもない軽忽であると直言したのである。
「げにも」
と、司馬懿は子の言を容れて、急に、自分は後陣へまわり、べつな大将を先陣に配した。
その夜、宵のうちは、風清く、月明らかで、粛々たる夜行には都合が悪かったが、渭水を渉る頃から、夜霧ふかく、空も黒雲にとざされて来たので、司馬懿はかぎりなく歓んで、
「これ、天われを助くるもの」
と、人は枚を喞み、馬は口を勒し、深く蜀陣へ近づいた。
一方。この夜を期して、
「かならず司馬懿を捕えん」
と、計りに計っていた孔明も、剣に仗り、壇に歩して昼は必勝の祈祷をなし、夕べは血をそそいで諸将と決死の杯を酌み交わし、夜に入るや手分けを定めて、三軍、林のごとく待ちうけていた。