Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate
時艱に耐うる天質のいとど薄い蜀帝をして、この安逸へ歓楽へと誘導するに努めていたものが、黄皓などの宦臣の一群であったことはいうまでもない。
「ああ、国は危うい」
「かくては、蜀の落日も、一燦のうちであろう」
心ある者はみな歎いた。
しかし、帝の寵威を誇る黄皓にたいして、歯の立つ者はいなかった。
ひとり姜維は、面を冒して、諫奏幾度か、
「佞臣を排されたい」
と、劉禅の賢慮を仰いだ。
饐えたる果物籠の中にあって、一箇の果物のみ饐えないでいるわけもない。帝の心はすでに甘言のみを歓ぶものになっている。朝に美姫の肩の柳絮を払い、夕べに佳酒を瑠璃杯に盛って管絃に酔う耳や眼をもっては、忠臣の諫言は余りにもただ苦い気がした。
「蜀は風前の燈火だ」
維は、慨嘆した。
果たせるかな、魏は、
「時到る」
とこれを見ていた。そして景燿六年の秋、一挙に蜀中に攻め入って、その覆滅を遂ぐべしと、艾、鍾会を大将として、無慮数十万の大兵は、期して、魏を発し、漢中へ進撃した。
蜀の前衛は、たちまち潰えた。
姜維は、剣閣の嶮に拠り、この国難に、身を挺して防いだ。
さすがに、ここは容易に、抜けなかった。