Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate

Aozora Bunko

密々、触れをまわして引揚げの準備をさせ、一面、馬岱と姜維のふた手を殿軍に選び、

「そち達は、山間に潜み、敵来らば防ぎ、逃げつづいて来る味方を容れ、その後、頃を測って引揚げよ」

と、悲痛な面で云い渡した。

また、馬忠の一軍には、

「曹真の陣を横ざまに攻め立てておれ。彼はその気勢に怖れて、よもや圧倒的な行動には出てきまい。……その間に、われは人を派して、天水、南安、安定の三郡の軍官民のすべてをほかへ移し、それを漢中へ入れるであろう」

退却の手筈はここに調った。

かくて孔明自身は、五千余騎をつれ、真先に、西城県へ行った。そしてそこに蓄えてある兵糧をどしどし漢中へ移送していると、たちまち、報ずる者あって、

「たいへんです。司馬懿みずから、およそ十五万の大軍をひきい、真直ぐにこれへ襲せてくる様子です」と、声を大にして伝えた。

孔明は愕然と色をうしなった。――左右をかえりみるに、力とたのむ大将の主なる者はほとんど諸方へ分けてこれという者もいない。残っているのはみな文官ばかりである。

のみならず、さきに従えてきた五千余の兵力も、その半分は、兵糧移送の輜重につけて、漢中へ先発させ、西城県の小城のうち、見わたせば、寥々たる兵力しか数えられなかった。