Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate
「琴を持て」
と、ふたりの童子を従えて、櫓の一番上へのぼって行った。
そして高楼の四障も開け払い、香を燻き、琴をすえて端然と坐した。
はやくも、ひたひたと襲せてきた魏の先陣は、遠くこれを望見して、怪しみ疑い、直ちに、中軍の司馬懿に様子を訴えた。
「なに。琴を弾いている?」
仲達は信じなかった。
自身、馬をとばして、先陣へ臨み、近々と城の下まで来て眺めた。
「おお。……諸葛亮」
仰ぐと、高楼の一層、月あかるき処、香を燻き、琴を調べ、従容として、独り笑めるかのような人影がある。まさに孔明その人にちがいない。
清麗な琴の音は、風に遊んで欄をめぐり、夜空の月に吹かれては、また満地の兵の耳へ、露のごとくこぼれてきた。
「……?」
司馬懿仲達は、なぜともなく、ぶるぶると身を慄わせた。
――いざ、通られよ。
と誰か迎え出ぬばかり目の前の城門は八文字に開放されてあるではないか。
しかもそこここと水を打って清掃してあるあたり、篝の火も清らかに、門を守る兵までが、膝を組み合ってみな居眠っている様子である。
彼は、やにわに、
「――退けっ。退けっ」
と先陣の上に鞭を振った。
驚いて、次男の司馬昭が云った。