Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ ほととぎす
小説 不如帰
徳冨 蘆花
Leggi 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) di 徳冨 蘆花 (とくとみろか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 129.742 caratteri · 256 schermate
たれつたうともなくほのかにその身の上をば聞き知れるなりけり。
こは浪子なりき。
惜しからぬ命つれなくもなお永らえて、また今年の秋風を見るに及べるなり。
*
浪子は去る六月の初め、伯母に連れられて帰京し、思いも掛けぬ宣告を伝え聞きしその翌日より、病は見る見る重り、前後を覚えぬまで胸を絞って心血の紅なるを吐き、医は黙し、家族は眉をひそめ、自己は旦夕に死を待ちぬ。命は実に一縷につながれしなりき。浪子は喜んで死を待ちぬ。死はなかなかうれしかりき。何思う間もなくたちまち深井の暗黒におちたるこの身は、何の楽しみあり、何のかいありて、世に永らえんとはすべき。たれを恨み、たれを恋う、さる念は形をなす余裕もなくて、ただ身をめぐる暗黒の恐ろしくいとわしく、早くこのうちを脱れんと思うのみ。死は実にただ一の活路なりけり。浪子は死をまちわびぬ。身は病の床に苦しみ、心はすでに世の外に飛びき。今日にもあれ、明日にもあれ、この身の絆絶えなば、惜しからぬ世を下に見て、魂千万里の空を天に飛び、なつかしき母の膝に心ゆくばかり泣きもせん、訴えもせん、と思えば待たるるは実に死の使いなりけり。