Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

三

とさも陳腐らしそうに説明して聞かせた。

「君は貰う気はないのかい」

「僕が貰うように見えるかね」

話しはこんな風に、御互で引き摺るようにしてだんだん先へ進んだが、いよいよ際どいところまで打ち明けるか、さもなければ題目を更えるよりほかに仕方がないという点まで押しつめられた時、須永はとうとう敬太郎に「また洋杖を持って来たんだね」と云って苦笑した。敬太郎も笑いながら縁側へ出た。そこから例の洋杖を取ってまた這入って来たが、「この通りだ」と蛇の頭を須永に見せた。

三

須永の話は敬太郎の予期したよりも遥かに長かった。――

僕の父は早く死んだ。僕がまだ親子の情愛をよく解しない子供の頃に突然死んでしまった。僕は子がないから、自分の血を分けた温たかい肉の塊りに対する情は、今でも比較的薄いかも知れないが、自分を生んでくれた親を懐かしいと思う心はその後だいぶ発達した。今の心をその時分持っていたならと考える事も稀ではない。一言でいうと、当時の僕は父にははなはだ冷淡だったのである。もっとも父もけっして甘い方ではなかった。今の僕の胸に映る彼の顔は、骨の高い血色の勝れない、親しみの薄い、厳格な表情に充ちた肖像に過ぎない。