Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひがんすぎまで

彼岸過迄

夏目 漱石

Leggi 彼岸過迄 (ひがんすぎまで) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.333 caratteri · 385 schermate

Aozora Bunko

父が死んだ時母は非常に泣いた。葬式が出る間際になって、僕は着物を着換えさせられたまま、手持無沙汰だから、一人縁側へ出て、蒼い空を覗き込むように眺めていると、白無垢を着た母が何を思ったか不意にそこへ出て来た。田口や松本を始め、供に立つものはみんな向の方で混雑していたので、傍には誰も見えなかった。母は突然自分の坊主頭へ手を載せて、泣き腫らした眼を自分の上に据えた。そうして小さい声で、「御父さんが御亡くなりになっても、御母さんが今まで通り可愛がって上げるから安心なさいよ」と云った。僕は何とも答えなかった。涙も落さなかった。その時はそれですんだが、両親に対する僕の記憶を、生長の後に至って、遠くの方で曇らすものは、二人のこの時の言葉であるという感じがその後しだいしだいに強く明らかになって来た。何の意味もつける必要のない彼らの言葉に、僕はなぜ厚い疑惑の裏打をしなければならないのか、それは僕自身に聞いて見てもまるで説明がつかなかった。時々は母に向って直に問い糺して見たい気も起ったが、母の顔を見ると急に勇気が摧けてしまうのが例であった。そうして心の中のどこかで、それを打ち明けたが最後、親しい母子が離れ離れになって、永久今の睦ましさに戻る機会はないと僕に耳語くものが出て来た。