Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
しかし城主は返辞をしない。万兵衛は不思議そうに口を噤んだ。
「その立派な武田の家臣が、何故鳥刺になどなったのだろう?」呟くように云ったものである。
「ハイ、人を尋ねるためだと、このように申しておりましたそうで」
「ははあなるほど、そうであったか。……とまれ武田家で高坂と云えば、尋常ならぬ家柄だ。そうして俺には由縁のある名だ。……武田の家臣、高坂甚太郎。……武田……高坂……由縁のある名だ。……昔のことを思い出す。……忘れ去られた笛の音が、ゆくりなく聞こえて来るように。……蝮に噛まれた古傷が、うずき出したような思いもする。……憎くもあれば懐かしくもある。……で、誰を探がしていると云ったな?」
「ハイ、その者の従兄にあたる、土屋庄三郎と申す者を、尋ねるそうにございます」
「ナニ、土屋庄三郎※(感嘆符疑問符、1-8-78) おお確かにそう云ったのだな?」
城主は牀几から立ち上がった。卓へ突いた両の手が、細かく細かく戦慄した。その手がそろそろと持ち上がり、頭上へ高く上がったかと思うと、眼に見えない恐ろしい物でも、払い退けるように打ち振った。
「悪い名だ! 悪い名を聞いた!」