Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

第十九回

一

「永劫恋は封じられました」

「食い反らせた乱杭歯!」

「しかも三本欠けております」

「ドンヨリと黄色く濁った眼!」

「おうおう膿が垂れそうだ」

「左の耳髱が千切れている!」

「はい、狼に噛まれたように」

「蜘蛛のような額の痣!」

「人の厭がる豎剣文」

ゲラゲラ笑う声がした。

「北条内記奴! 目付けて見やがれ!」

第十九回

一

富士の裾野、人穴の奥、造顔術師月子の部屋、そこの扉の開く音が、ギーと幽かに聞こえたのは、その翌日の払暁であった。

「さようならば月子様」

「源之丞様、園女様、ご無事においでなさいませ」

別離の挨拶の声がした。後は暫時静かであった。とまたギーと音がした。月子が部屋の扉を閉じたらしい。

お喋舌りの小鳥も啼き出さず、東の空も水色を産まず、裾野は暗く物寂しく、風ばかりが灌木を渡ると見え、嘯くような声がした。

岩山の裾に黒々と斑点のような物の見えるのは、おおかた人穴の入口であろう。と、そこから吐き出されたように、二つの人影が現われた。

伴源之丞と園女であろう。しかし四辺が暗いので、はっきり姿は解らなかった。

どうやら躊躇っているらしく、人穴の口を背後にして、二人の人影は佇んでいた。