Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

……だがな、俺には一つだけ、気がかりの事があるんだぜ。と云うなあ他でもねえ。城の大将に逢えなかったことさ。……全く今でも残念だあな。歓迎してくれた大将に、逢わず仕舞いで帰るんだからな。噂によると大将は、仮面を冠っているそうだが、不自由なことをしたものさ。……うん、そう云えば仮面の大将を、俺らチラリと見たことがあった。……それはそうと、あッ、畜生! 相変らず濛気が立ってやがるなあ!」

人工の濛気は湖上から、一匹の白布を掲げたように、空を蔽って立っていた。ドンドンドンドン! ドンドンドンドン! 濛気の奥、湖水の底から、何んとも云えない不気味の音が、こう間断なく響いて来たが、血絞り機械の音であった。

船は驀地に駛って行った。

しかし咫尺も弁じなかった。濛気の中を行くからであった。と、行手の一所から太鼓の音が鳴り渡った。それに答えて船中から法螺貝の音が響き渡った。いずれも合図の音であった。

振り返って見ても纐纈城は、どこにあるとも解らなかった。前路を見ても足下を見ても、遮る物の影もなかった。綿と云おうか練絹と云おうか、上へ上へと立ち上る、白いものばかりが眼に触れた。