Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
で、寂然と声もなかった。
この時ドッと鬨の声、裏門の方から聞こえて来た。剣戟の触れ合う音もした。
「また押し寄せて来たそうな」
渋面を作って信玄が云った。
「そんな様子でございますな」
快川長老がこう云った。「考えて見れば憐れなもので」
「さりとて城門を開けることはならぬ」
「さよう、あけたところで無意味でござる」
館の大門は四つとも、数日前に鎖ざされた。
癩患者の潜入を恐れたからで、またやむを得ない政策であった。しかし城下の人々は、それを無慈悲だと憤った。そうして大挙して押し寄せて来た。
ふたたびドッと鬨の声が上がった。表門へ寄せて来たらしい。
「これ」と信玄は不安そうに、「どうせ評定は永くなる。固めの方が肝腎だ。持ち場持ち場へ帰るがいい」足軽大将の居並んだ方へ、括れた二重顎を刳くって見せた。
足軽大将は十六人の中八人がやおら立ち上がった。
横田十郎兵衛は表門へ、大熊備前守は裏門へ、三枝勘解由左衛門は西門へ、曽根十郎兵衛は東門へ、市川梅印は中曲輪へ、原与左衛門は東曲輪へ、長坂釣閑は西曲輪へ、各自の持ち場へ帰って行った。
後はまたもや森然となった。
どこからか風が吹き込むと見え、一斉に紙燭の灯が流れた。