Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

……間もなく結ばれた悪因縁! それから逃亡! それから流浪!」

月子の声が聞こえて来た。

「小舟は漂って行きました。水鳥の群の中を分け、一筋白い水脈を曳き。……そこで白拍子は詠いました。『鳥をわけて朝妻船も過ぎぬれば同じ水脈にぞまた帰りぬる』こうして堅田へ着きました。壺に涙が溜まりました。でまた湖水へ覆けました。水量が増したと申します」

源之丞はじっと動かなかった。立てた膝頭へ額をあて、背を丸くして固まった。「それから逃亡、それから流浪……。逃げて逃げて逃げ廻わった。俺は柔弱、しかも無学、取柄といえば美貌ばかり、仕官することは出来なかった。だがそのうち路金が尽きた。仕官しなければならなかった。戦国の慣いどこへ行っても矢叫びの声武者押しの音、有能の士は抱えられた。だが俺だけは駄目だった。弓を引くことも馬に乗ることも、太刀を抜くことも、兵法も、何一つ手掛けていなかったからだ。饑死しなければならなかった。だが死ぬのは厭だった。そこで俺は考えた。俺は俺の取柄をもって、妻は妻の取柄をもって、禄を得て命を繋ごうと。……妻は諸大名の妾となり、俺は諸大名の奥方や、側室に体を委せることにした。