Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんしゅうこうけつじょう

神州纐纈城

国枝 史郎

Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate

Aozora Bunko

それを握っている手が見えた。

「高遠城主平賀源心! あいつの首級だ、あいつの首級だ!」またはっきりと思い出した。「源心の首級を握っている手! ああ、あれは俺の手だ!」

それこそ本当に遠い昔、彼がわずか十九歳の頃、晴信を進めて高遠城を攻め、一番乗りをした時のことを、フッと意識へ上せたのであった。

だがそいつはすぐ消えた。そうして何にも見えなくなった。と、女の泣き声が聞こえた。一人の女が浮き出して来た。やはりそれにも見覚えがあった。と、その横に若侍が、悲しそうな顔をして坐っていた。

「妻の妙子、弟の主水!」こう思った時には二人の姿が、だんだんかすれて見えなくなった。

すると、今度は闇の中へ、巨大な鉞が浮かんで来た。鋭い刃がギラギラと光り、それが落ちかかって来そうであった。

「万兵衛の持っている鉞だ! オイ俺を切ってはいけない!」

だが、鉞も消えてしまった。

グーン! グーン! と唸る音!

「地下で調べ革が廻わっている」

するとハッキリ唄声が聞こえた。

いざ鳥刺が参って候

………………………

それもたった一声であった。

もう何んにも見えなくなった。トロトロトロトロと脳の中で、何かがとろけるような気持ちがした。