Classici giapponesi con furigana
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しんしゅうこうけつじょう
神州纐纈城
国枝 史郎
Leggi 神州纐纈城 (しんしゅうこうけつじょう) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 188.242 caratteri · 380 schermate
「恐らく裾野にはおられないのでしょう」
「いや裾野にはきっといる。それだけは見当が付いている」陶器師はキッパリと云った。
「可哀そうな人達でございますこと。……」
ふと寂しそうに云ったものである。
「何?」と陶器師は聞き咎めた。「可哀そうだと? きゃつらがか?」
「あなたのような恐ろしいお方に付け狙われるお二人様が」
「伴源之丞と園女がか? ヒ、ヒ、ヒ、ヒ、何が可哀そうだ! 姦夫姦婦めが何が可哀そうだ! 気の毒なはこの俺よ! あったら武士も廃れてしまった」咽ぶがような声である。
「あなたもお可哀そうでございますよ」
「憐れんで貰う必要はない。もっとも……」と云うと膝行り寄り、
「もっとも憐れんでくれるなら。……」ひょいと月子の手を握った。
「おお憐れんでくれるなら、この心を憐れんでくれ! 燃えている心だ! 焦れている心だ!」
しかし月子は微動さえしない。冷たくそうして静かである。
「妾は恋を封じられております」それは凄然たる声であった。
「お放しなさりませ。睨みましょうか」
「止せ!」と云うと陶器師は捉まえていた女の手を放した。
「睨まれるのはまだ早い。俺はもっと正気でいたい」