Classici giapponesi con furigana
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とらのきば
虎の牙/透明怪人
江戸川 乱歩
Leggi 虎の牙/透明怪人 (とらのきば) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 193.761 caratteri · 388 schermate
「外出するんだから、服を着かえるがいい。」
虎がまたそう言ったように、感じられました。あのおそろしかった虎の顔が、にわかにやさしくなったようで、もうすこしもこわくはありません。花田君は、大いそぎで、洋服を着て、帽子をかむりました。そして、フラフラと窓のところへ行くと、外から虎が二本の前足で、花田君を、抱きかかえるように、むかえてくれました。
「クツはいいんだよ。わしの背中へ、のせてやるからね。」
虎がそう言ったように思うと、いつのまにか、花田君は、大きな虎の背中に、馬のりになっていました。虎は、かわいい少年を背中にのせたまま、ひらいた裏木戸から外に出て、月光にてらされた、深夜の町を、近くの大通りのほうへと、ノッシノッシと歩いて行きました。
これは、いったい、どうしたことでしょう。東京の町中へ、虎があらわれるというのも、まるでうそのような話ですが、そのうえ、ひとりの少年がその虎にまたがって、真夜中とはいえ、町の中をノコノコ歩いているなんて、まったく信じられないことです。
しかし、花田君は、夢を見ていたのではありません。これはじっさいにおこったことなのです。