Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 143.455 caratteri · 290 schermate
又六は観念した様子で、縁側の陽の中に、襤褸巾のように蹲りました。平次はその様子を見定めると、又六の舌の動きを滑らかにするために、治兵衛お糸親娘を、眼で追いやったことは言うまでもありません。
又六の話は奇っ怪でした。が、その筋だけを拾うと――、
三年越し乾物屋のお柳に焦がれた又六は、どう誠心を傾け尽しても、弾かれ、辱しめられ通しなのに気を腐らし、いっそお柳を殺して、自分も死のうと思い定めたのが昨夜でした。
その頃お柳は別の悩みにひしがれて、妻恋稲荷に行っているとは知る由もありません。納戸へ入って、棚の上に置いた、自慢の匕首を捜しましたが、どこへ行ったか見当らず、心せくまま、側にあった吉五郎の道具の中から、手頃な小刀を取出し、明神様の裏を、妻恋稲荷の前へ行くと、チラリと境内に、若い女の影が見えたのです。
――お留だな――
眼のよい又六は、遠い灯の中に、咄嗟に相手を見極めましたが、何か素振りが変だったので、われにもあらず稲荷様の境内に入ると、お留は早くも姿を隠して、稲荷の格子の前に、大輪の花のように崩折れているのは、今殺そうと思い込んで来た相手のお柳の断末魔の姿ではありませんか。