Classici giapponesi con furigana
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くいどうらく
食道楽
村井 弦斎
Leggi 食道楽 (くいどうらく) di 村井 弦斎 (むらいげんさい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 170.664 caratteri · 341 schermate
娘の理想に適った良人さえ寡い世中ですもの、娘の理想に適うようなお姑さんが滅多にある気支いもありません。私は舅姑が郷里におりましたから此方では夫婦差向いでございましたが二十日ばかり過ぎるとある時良人が家の近所で車から落ちて右の腕を怪我しました。それを宅へ持ち込まれた時には私もただ狼狽するばかり、疵口へどういう手当をしていいものだかどうしていいか訳が分りません。医者を呼びに遣っても急には来てくれず、ホントニ困まりましたよ。西洋の女学校では必ず看病学や繃帯の仕方を教えると聞いていますが私どもの理想に良人の怪我を手当するなんぞという事は夢にもありません。小式部が言下に歌を詠んだとか曹建が七歩の詩を作ったという事は習い覚えていますけれども怪我をした時即座の応急療法を施すというような実用の学科は一つも習った事がありません。幸に良人の怪我が極く軽いので一週間ばかりの後に全快しましたけれどもその時の私の驚きはまだ忘れません。あれが海へ乗出して急に大風に遭ったようなものですね、オホホ。しかしそう申すと嫁に参ってから悪い事ばかりあって懲々したように聞えますが一方には段々良人の情愛が解って参りますし、良人の価値も知れて来ましてこれもやっぱり娘時代にはとても想像の出来ない幸福を感じました。