Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate

Aozora Bunko

一方、孔明の命をうけて、天水山のうしろの山に旗を伏せていた趙雲の五千の兵は、馬遵が出陣した直後、

「城中は手薄、空家も同じなるぞ。そこを踏み破って、一気に城頭へ蜀旗をひるがえせ」

と、搦手の門へかかった。

すると、門の内で、全城を揺るがすばかりどっと笑う声がした。

「やや。城中にはまだだいぶ兵力が残っているぞ。留守と侮って不覚すな」

趙雲が励ましていると、もう続いてくる味方はない岩の山上から、鬨の声が起り、あわやと、振り返っている間に、土砂、乱岩、伐木などが、雪崩の如く落ちてきた。

「敵だ?」と、備えを改めるいとまもない。またたちまち一方の沢からも、鉦鼓を鳴らして、一軍が奇襲してきた。さしもの趙雲も狼狽して、

「西の谷あいは広い。西の沢へ移れ」

と号令したが、同時に城中から射出した雨の如き乱箭も加わって、早くも廃れる部下は数知れない。

「老朽の蜀将、逃げ給うな。天水の姜維これにあり」

呼ばわりつつ追いかけて来る一騎の若武者があるので、趙雲が駒を止めてみると、まさに、花羞かしきばかりの美丈夫。

「討つも憐れだが、望みとあれば――」と、趙雲はほとんど一撃にと思ってこれを迎えたらしいが、この若者の槍法たるや、世の常の槍技ではない。