Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate

Aozora Bunko

孔明は白い羽扇を持ってそれに乗り、味方の陣々を視て巡った。

この朝、白露は轍にこぼれ、秋風は面を吹いて、冷気骨に徹るものがあった。

「ああ。旌旗なお生気あり。われなくとも、にわかに潰えることはない」

孔明は諸陣をながめてさも安心したように見えた。そして帰途、瑠璃の如く澄んだ天を仰いでは、

「――悠久。あくまでも悠久」

と、呟き、わが身をかえりみてはまた、

「人命何ぞ仮すことの短き。理想何ぞ余りにも多き」

と独り託って、嘆息久しゅうしていたが、やがて病室に帰るやすぐまた打ち臥して、この日以来、とみに、ものいうことばも柔かになり、そして眉から鼻色には死の相があらわれていた。

楊儀をよんで、ふたたび懇ろに何か告げ、また王平、廖化、張翼、張嶷、呉懿なども一人一人枕頭に招いて、それぞれに後事を託するところがあった。

姜維にいたっては、日夜、側を離れることなく、起居の世話までしていた。孔明は彼にむかって、

「几をそなえ、香を焚き、予の文房具を取り揃えよ」

と命じ、やがて沐浴して、几前に坐った。それこそ、蜀の天子に捧ぐる遺表であった。

認め終ると、一同に向って、

「自分が死んでも、かならず喪を発してはいけない。