Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Leggi 三国志(八) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.604 caratteri · 391 schermate
そして魏将艾の軍門に、降をちかう、の屈辱に服したのであった。
かくて、蜀は、成都創府以来、二世四十三年の終りを、この日に告げたのであった。
昭烈廟(玄徳を祀る所)の松柏森々と深き処、この日、風はいかなる悲愁を調べていたろうか。
定軍山の雲高き処、孔明の眦はいかにふさがれていたろうか。
なおなお、関羽、張飛、そのほか幾多の父、幾多の子、また、無数の英骨、忠臣、義胆の輩はいかに泉下の無念をなぐさめていたろうか。
かつて皆、この土のために、生命をささげ、骨を埋め、土中に蜀の万代を祷っていたろうに、今や地表は魏軍の土足にとどろき、空は魏旗に染められている。
そもそも誰の罪か。
心なき蜀中の土民こそ嘆かぬはなかったであろう。
ただここに、なお劉家の血液を誇った一皇子がある。帝劉禅の五男北地王であった。皇子は初めから帝の蒙塵にも開城にも大反対で、
「蜀宮を墳としても、魏と最後の最後まで戦うべきです」
と主張していたが、ついに言は聴かれず、自分と共に討死しようという烈士もいないので、憤然ひとり祖父の昭烈廟へ行って、妻子をさきに殺して自分もいさぎよく自殺した。
蜀漢の末路、ただこの一皇子あるによって、歴史は依然、人心の真美と人業の荘厳を失っていない。