Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Leggi 大岡越前 (おおおかえちぜん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 218.436 caratteri · 437 schermate

Aozora Bunko

「おい、久の字。ここらで帰るがいいぜ。あしたの午まえにゃ、いつもの所へ、阿能とふたり、空ッ腹で行くから、お袖にいって、美味いもので、飯のしたくをさせといてくんな」

するすると、彼の影は、もう木の上の梟だった。

ここまでのつきあいが、精いッぱいの辛抱だった味噌久は、大亀にそういわれると、元気づいて、

「ほい、心得た。じゃあ、お袖のうちで、待ちあわせているぜ」

彼のすがたも、夜鳥に似て、江戸府内の方へいちもくさんに消え去った。

夏のみじか夜とはいうが、梟のまねして、木の上にとまっているふたりには、それからの空がひどく長い気がした。

「阿能。寒いようだなあ」

「ウム。洒落た涼みだ」

「寝られるかい。少ッたあ」

「寝たら落ッこちるだろうと思ってよ」

「おれたち、人間の先祖は、穴に住む以前は、木の上に寝たんだそうだ。寝られねえわけはねえが」

「それで読めた。いまの地上では、お犬様をはじめ、畜生どもが、人間以上にあつかわれ、おれたち人間は、木の上で寝る。――なるほどなんのふしぎもありゃしねえ。これやあ、大昔に返っただけのことだ」

「ははは。そうかもしれねえ」

この暗天の笑い声も、もし聞く者があったら、異様な感にうたれたろう。