Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎゅうつきかげしょう

柳生月影抄 名作短編集(二)

吉川 英治

Leggi 柳生月影抄 名作短編集(二) (やぎゅうつきかげしょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 173.309 caratteri · 352 schermate

Aozora Bunko

信長公へ対していかような御憤怒、御不満、また忍び難いものがござりましょうとも、虚を衝いて御主君を討ち奉るなどとは、天人共にゆるさぬ大逆――」

いいかけると、御主人には、はったとわしを睨みつけて、

「孫平治。ぬかすなッ」

「いや申しまする。申さいでは……」

「黙れっ。黙れっ」

わしは、物狂いとも見えよう様な血相して、

「聞かれませい! 孫平治の口をかりて、天があなた様へ申すのでござりますぞっ。あなたは、お若い時から、万巻の書を読んだ! じゃが、あの書のたった一行にでも、主君を弑逆してもよいと申す文字がござりましたか。またあなた様は、生来の御聡明じゃ。その理智の見分けに細やかで鋭いお眼は、他人の些細な非行たりとも、決して見逃しはなく、眉をひそめられる方じゃ。時勢を眺めてもその通り、常に御批判の正しいお方じゃ。――それが、それが、御自身……」

声つまらせると、

「黙らぬか、下郎っ」

無法な声を出されて、御主君には、床几を立ち、やにわにわしを足蹴にしかけたゆえ、わしはお手討と、はや観念の眼を閉じながら、具足の脚元へお縋り申して、

「黙りませぬ。主君を害し、人道に反いた武士が、古今を通じて、一人たりとも身を無事に終っておりましょうか。