Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

そう思ってみて堯は微笑んだ。

午後になって、日がいつもの角度に傾くと、この考えは堯を悲しくした。穉いときの古ぼけた写真のなかに、残っていた日向のような弱陽が物象を照らしていた。

希望を持てないものが、どうして追憶を慈しむことができよう。未来に今朝のような明るさを覚えたことが近頃の自分にあるだろうか。そして今朝の思いつきもなんのことはない、ロシアの貴族のように(午後二時頃の朝餐)が生活の習慣になっていたということのいい証拠ではないか。――

彼はまた長い坂を下りて郵便局へ行った。

「今朝の葉書のこと、考えが変わってやめることにしたから、お願いしたことご中止ください」

今朝彼は暖い海岸で冬を越すことを想い、そこに住んでいる友人に貸家を捜すことを頼んで遣ったのだった。

彼は激しい疲労を感じながら坂を帰るのにあえいだ。午前の日光のなかで静かに影を畳んでいた公孫樹は、一日が経たないうちにもう凩が枝を疎らにしていた。その落葉が陽を喪った路の上を明るくしている。彼はそれらの落葉にほのかな愛着を覚えた。

堯は家の横の路まで帰って来た。彼の家からはその勾配のついた路は崖上になっている。