Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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れもん

檸檬・ある心の風景 他二十編

梶井 基次郎

Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

二

そして床の上へやっと起きかえったかと思うと、寝床の上に丸くなって寝ている猫をむんずと掴まえた。吉田の身体はそれだけの運動でもう浪のように不安が揺れはじめた。しかし吉田はもうどうすることもできないので、いきなりそれをそれの這入って来た部屋の隅へ「二度と手間のかからないように」叩きつけた。そして自分は寝床の上であぐらをかいてそのあとの恐ろしい呼吸困難に身を委せたのだった。

二

しかし吉田のそんな苦しみもだんだん耐えがたいようなものではなくなって来た。吉田は自分にやっと睡眠らしい睡眠ができるようになり、「今度はだいぶんひどい目に会った」ということを思うことができるようになると、やっと苦しかった二週間ほどのことが頭へのぼって来た。それは思想もなにもないただ荒々しい岩石の重畳する風景だった。しかしそのなかでも最もひどかった咳の苦しみの最中に、いつも自分の頭へ浮かんで来るわけのわからない言葉があったことを吉田は思い出した。それは「ヒルカニヤの虎」という言葉だった。それは咳の喉を鳴らす音とも連関があり、それを吉田が観念するのは「俺はヒルカニヤの虎だぞ」というようなことを念じるからなのだったが、いったいその「ヒルカニヤの虎」