Classici giapponesi con furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
三
洋盃へついで果物をあしらい盆にのせる。その正確な敏捷さは見ていておもしろかった。
「お前達は並んでアラビア兵のようだ」
「そや、バグダッドの祭のようだ」
「腹が第一減っていたんだな」
ずらっと並んだ洋酒の壜を見ながら自分は少し麦酒の酔いを覚えていた。
三
ライオンを出てからは唐物屋で石鹸を買った。ちぐはぐな気持はまたいつの間にか自分に帰っていた。石鹸を買ってしまって自分は、なにか今のは変だと思いはじめた。瞭然りした買いたさを自分が感じていたのかどうか、自分にはどうも思い出せなかった。宙を踏んでいるようにたよりない気持であった。
「ゆめうつつで遣ってるからじゃ」
過失などをしたとき母からよくそう言われた。その言葉が思いがけず自分の今為たことのなかにあると思った。石鹸は自分にとって途方もなく高価い石鹸であった。自分は母のことを思った。
「奎吉……奎吉!」自分は自分の名を呼んで見た。悲しい顔付をした母の顔が自分の脳裡にはっきり映った。
――三年ほど前自分はある夜酒に酔って家へ帰ったことがあった。自分はまるで前後のわきまえをなくしていた。友達が連れて帰ってくれたのだったが、その友達の話によると随分非道かったということで、自分はその時の母の気持を思って見るたびいつも黯然となった。