Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
2
がらんとした溪間の旅館の一室で。天井に彼らの貼りついている、死んだように凝っと貼りついている一室で。――
2
その日はよく晴れた温かい日であった。午後私は村の郵便局へ手紙を出しに行った。私は疲れていた。それから溪へ下りてまだ三四丁も歩かなければならない私の宿へ帰るのがいかにも億劫であった。そこへ一台の乗合自動車が通りかかった。それを見ると私は不意に手を挙げた。そしてそれに乗り込んでしまったのである。
その自動車は村の街道を通る同族のなかでも一種目だった特徴で自分を語っていた。暗い幌のなかの乗客の眼がみな一様に前方を見詰めている事や、泥除け、それからステップの上へまで溢れた荷物を麻繩が車体へ縛りつけている恰好や――そんな一種の物ものしい特徴で、彼らが今から上り三里下り三里の峠を踰えて半島の南端の港へ十一里の道をゆく自動車であることが一目で知れるのであった。私はそれへ乗ってしまったのである。それにしてはなんという不似合いな客であったろう。私はただ村の郵便局まで来て疲れたというばかりの人間に過ぎないのだった。
日はもう傾いていた。私には何の感想もなかった。