Classici giapponesi con furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
音楽会――音楽会を包んでいる大きな都会――世界。……小曲は終わった。木枯のような音が一しきり過ぎていった。そのあとはまたもとの静けさのなかで音楽が鳴り響いていった。もはやすべてが私には無意味だった。幾たびとなく人びとがわっわっとなってはまたすーっとなっていったことが何を意味していたのか夢のようだった。
最後の拍手とともに人びとが外套と帽子を持って席を立ちはじめる会の終わりを、私は病気のような寂寥感で人びとの肩に伍して出口の方へ動いて行った。出口の近くで太い首を持った背広服の肩が私の前へ立った。私はそれが音楽好きで名高い侯爵だということをすぐ知った。そしてその服地の匂いが私の寂寥を打ったとき、何事だろう、その威厳に充ちた姿はたちまち萎縮してあえなくその場に仆れてしまった。私は私の意志からでない同様の犯行を何人もの心に加えることに言いようもない憂鬱を感じながら、玄関に私を待っていた友達と一緒になるために急いだ。その夜私は私達がそれからいつも歩いて出ることにしていた銀座へは行かないで一人家へ歩いて帰った。私の予感していた不眠症が幾晩も私を苦しめたことは言うまでもない。