Classici giapponesi con furigana
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れもん
檸檬・ある心の風景 他二十編
Leggi 檸檬・ある心の風景 他二十編 (れもん) di Kajii Motojirō (梶井 基次郎) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.934 caratteri · 263 schermate
百姓家。街道。そして青田のなかに褪赭の煉瓦の煙突。
小さい軽便が海の方からやって来る。
海からあがって来た風は軽便の煙を陸の方へ、その走る方へ吹きなびける。
見ていると煙のようではなくて、煙の形を逆に固定したまま玩具の汽車が走っているようである。
ササササと日が翳る。風景の顔色が見る見る変わってゆく。
遠く海岸に沿って斜に入り込んだ入江が見えた。――峻はこの城跡へ登るたび、幾度となくその入江を見るのが癖になっていた。
海岸にしては大きい立木が所どころ繁っている。その蔭にちょっぴり人家の屋根が覗いている。そして入江には舟が舫っている気持。
それはただそれだけの眺めであった。どこを取り立てて特別心を惹くようなところはなかった。それでいて変に心が惹かれた。
なにかある。ほんとうになにかがそこにある。と言ってその気持を口に出せば、もう空ぞらしいものになってしまう。
たとえばそれを故のない淡い憧憬と言ったふうの気持、と名づけてみようか。誰かが「そうじゃないか」と尋ねてくれたとすれば彼はその名づけ方に賛成したかもしれない。しかし自分では「まだなにか」という気持がする。